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休憩を挟んで3時間の演劇は相当に長かった。時間は面白ければ短く、つまらなければ長い。山陰の寂れた温泉町、時代遅れの芸者衆を持つ置屋の女将は、広島原爆の被爆者で後遺症に苦しんでいる。悲しい物語に必要な材料が全て整っている。こんなにはまった人情話に泣けないはずはない。泣けないはずはないが退屈だったのは、想定通りの展開で観る人の想像力を刺激しなかったからだ。このような演劇(ドラマ)では吉永小百合のような名優(?)もってこなければ、時間は短くならない。勿論、前進座の皆さんの熱演を否定するつもりはなく、芸者置屋の内部の作り、建物の上に位置する外の木々が北国の寒風を受けて揺れ動く様など、見事な舞台作りだった。
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